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直島での会話 ー瀬戸内国際芸術祭2016ー

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黄瓜

知らない人とも ゆるやかにつなげてくれる。



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 直島へは高速船で、本村港から入った。小豆島の規模とは打って変わって、芸術祭がなければきっと静かな島なのだろうな、というような雰囲気だった。
 港から、荷物を預けにゲストハウスへとぼとぼ歩いていく。途中港を眺めているおじさん方の前を通る。挨拶をすると、明るい声で返してくださった。

 ゲストハウスを出て、宮之浦港に向かうためにバス停へ。
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赤かぼちゃ

 ここでも、おばさんがバス停にやってきて挨拶をする。
「バスはまだ来てないかしら」
 バスの到着時刻から1分が過ぎている。
「買い物に行くのよ。スーパーが島には一軒しかないからねえ」
 道は芸術祭だというのに思ったほど車は走っていない。ナンバーも地元香川のものが多い。
小豆島と違って、芸術作品を見て回るのに、車は勝手が悪いのだと、後で知ったが、確かに小さな島に車で乗り入れたら、お邪魔になってしまうだろう。
 バスが五分過ぎてもやってこない。少し心配し出した女性。普段は時間通りにやってくるのだろう。高校時代、一時間たってもバスが来ないということがあった自分にとって、五分はさしたる問題ではないけれど、さすがにそんなに心配し出すと、こちらも、よもや何かの間違いではなかろうかと思い始める。
 逆側でバスを待つ旅行者たちも、バスがやってこないのにしびれを切らしたのか、歩き始める。
 自分たちも、もう一停留所分歩こうか、という頃合いになって、向こう側のバスがやってきた。慌てて引き返してくる旅行者たち。自分たちも、もう少し待つことにした。
 やがてバスはゆっくりとやってきた。目的の港は、待ち時間に少しプラスしたくらいで到着するほどの距離だった。でも、起伏のあるこの島で、バスの存在はありがたかった。


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家プロジェクト はいしゃ

 宮之浦港で予約していた電動自転車を借りて、島を巡る。直島パビリオンや、お約束の赤かぼちゃ。家プロジェクト。運良く南寺にも少しの待ちで見ることができた。真っ暗闇で何かを見ようとすると、目は疲れるのだな、と思う作品だった。

 切腹ピストルズの音を遠くに聞きながら、この目で見られなかったのを悔やみつつ、食事をして、南寺を見終え、さらに自転車を走らせると、黄色い瓜のある海岸に出た。ここから地中美術館、ベネッセハウスに行くには、自転車で山道を登らないといけないらしい。よくぞ自転車を電動にしておいたなあ、と思いつつ、登り始める。グイグイと後輪が坂道を登ってくれるが、真夏の暑さと、登り道の急峻さに、さすがに汗が出る。途中、同じように坂道をスポーツ系のミニベロで登っている人たちが休憩をしていて、すれ違いざま、「電動自転車はいいですねえ」と声をかけられた。
「いいですよう、助かってます」
 彼らが「あはは」と笑った。

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桜の迷宮

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彼方の気配 …桜の迷宮の背後の池にある


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直島パヴィリオン

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地中美術館への小径。睡蓮を彷彿とさせる

 宮之浦を夕方走らせていてもそうだった。
 夕飯をどこで食べようかと話していると、目の前に賑やかなお寿司屋さんがあった。
「あ、お寿司さんだ」
 そういうと、たまたま店を開けようとしていた若いご主人らしき人が
「うまいっすよ」と明るい声をかけてきた。
「高いっすか?」 それなりに行く気満々である。
「高いからうまいんですよ」 笑顔でピシャリと返ってきた。
 確かにうまいから高いんだよな、寿司は。
後で調べてみたら、確かにうまそうで、お値段もそこそこしている。
 いや、でも、そういうことではなくて、そこに住んでいる人も、やってくる人も、それなりにおおらかで、気さくに声をかけたり、かけられたりがしやすいのだ、という実感が、この島にはあった。
 自分らのような余所者が島に入り込むのを嫌がる人もいるだろうし、旅行者の中には、もちろん、他人と、挨拶程度の交流も嫌がる人もいるだろう。けれども、そうではない人もいて、そういう人たちと、気軽に声をかけあうのは、とても気持ちのよい距離感がある。
 夜にバス停からゲストハウスに行く時も、同じ宿だと知って、暗いので、一緒に行きましょうとなるし、お互い得体の知れない存在なのに、なんとなく、受け入れてしまうのだ。 観光地のそれと比べても、そういう感じが強いように思えた。だから、極力、田舎でやっている通り、出会ったら、挨拶をした。

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護王神社

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I♥湯

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I♥湯近くにいた猫、猫、猫。

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直島では「外食」  美味しそうな地ビールと地酒をいただく。

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ベネッセハウスへ行くまでの海


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宮ノ浦港海の駅でおふざけ。西洋系の綺麗な年頃の(年頃なのに!)女の子とお父さんがやっていたのを見て。

 直島の朝、旅行者と地元のおばあさんの会話を妻が聞いていた。。
 3年前はもっとたくさんの人が来ていた、という。
そんな話を、地元の人と、旅行者が交わす。
とてもいいな、と思う。他人イコール怖いとなりつつある今、芸術は、人と人とを、緩やかに接続させるのだ。

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 宮ノ浦港 遠くに赤かぼちゃを望む。
Commented by border72 at 2016-08-19 17:46
小豆島に直島ですか。読んでいてホノボノしました。いい旅行をされたようで何より。
瀬戸内国際芸術祭は毎年気になってるんですがいまだに行けておりません。(^^;)
Commented by eureka_kbym at 2016-08-20 09:11
border72さん
いい旅となりました。すでにまた行きたいと思ってしまっています。
ただとにかく暑かった。どれほどペットボトルを買ったことか。
しかしその水がまたうまいんですよ。空腹は最高の調味料とは言いますが、喉の渇きもまた然りでした。
Commented by London Caller at 2016-08-25 20:30 x
ああ、草間彌生さんが創ったカボチャなんですね!
ロンドンで見たことがありますよ〜
Commented by eureka_kbym at 2016-09-05 00:12
London Callerさん
ロンドンでも草間彌生さんの名は知られているのでしょうか。
あの水玉。ちょっと毒でも入っているのではないかと思う鮮やかさです。
by eureka_kbym | 2016-08-18 22:15 | X100&X100T | Comments(4)

little island walking,

現在、EOS6D EOS5Dmark2 X100 X100Tを主に使ってあちこち撮り歩くだけのブログです。http://eureka69.exblog.jp/fp/cameras


by eureka_kbym
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