渋谷の喧騒から遠ざかるようにしても

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文字は視界に入ると無遠慮に脳内へと入り込もうとする。



 渋谷なんて10年ぶりくらいだったろうか。
 休日の渋谷はとにかく賑やかで、うるさくて、
 呼吸が苦しくなる。
 学生の頃に、よくこの街に来ていた。
 渋谷は映画の街だ。
 シネマライズ シネマソサエティ 文化村 ユーロスペース イメージフォーラム もうなくなったところもあるのではないだろうか。
 イラン映画をよく観た。
 あまりお金をかけずとも、いいものは作れるんだよ、というお手本のような映画だった。
 モフセンマフマルバフの「サイレンス」は、実家がビデオレンタル店を営んでいて、毎週土曜日には父親がビデオを持って帰って来てくれていた自分でも、衝撃的なシンプルさだった。そうしてとても美しかった。
 チャンイーモウ監督「初恋の来た道」 「タイタニック」のどうしたって海に沈んでしまう中で、そりゃ男女の寂しい別れは涙を誘うでしょうよ、という展開を、上手に地味にしてくれた作品だった。きちんとタイタニックのポスターが「不自然に」二枚劇中で貼られていたのが、ちょっとイヤミにすら思えるくらい。ベタなカメラワーク、ベタなヒロインの登場、でも、きちんと泣ける。きちんと重みをつけている。さすが「紅いコーリャン」の監督だった。北京オリンピック開会式に続き、平昌の閉会式での引き継ぎでも指揮していたけれど、次の北京でもやるのかしら。

 映画が僕の教科書だったのかもしれない。小さな頃から、ハリウッドも、香港ムービーも、日本のB級映画も、アート作品も、たくさん観た。今はもうそんなに観ないけれど。。。

 この日、僕はブログつながりのライカで撮影されている方の写真展に足を運んだのだった。
 たまたま出張と重なっていたから。
 一度生で観たかった。

 彼のモノクロの世界は好きだ。
 ライカだからこの深みが出る、というわけではない。
 この人だから、この深いモノクロの世界が出来上がるのだ、と改めて思った。
 ずいぶん年下の自分にも、とても丁寧に接してくださった。
 そんな姿勢が写真にも感じられた。

 帰りに、X100Tを持ちながら、次の約束の場所である新宿に急いだ。
 急いでいるから、そんなに撮れなかったけれど。
 歩道橋の上から観る、懐かしく、せわしない渋谷の通りと、標識の裏にある、渋谷の喧騒にふさわしい文字達を撮った。
 新宿で会った女の子二人に、「この写真いいじゃん」と言われた。
 他のがダメだってことなのかもしれないけれど、美術を専門に学んだ彼女らに言われると、悪い気はしない。
 ふと、また渋谷を撮りたくなった。
 数年後には行けることがあるかもしれない。
 あの頃、映画の中で印象に残った構図を思い出しながら、
 それを自分のファインダーの中で蘇らせるために。

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Commented by border72 at 2018-02-26 22:44
美術を専門に学んだ女子二人に、「この写真いいじゃん」と言われただけあっていい写真ですねえ。
そうか、eureka_kbymさんの奥に流れている血脈はムービーなんですね。
一つ謎が解けた気がします。(^^)
ところで、ライカで撮影されているあの方の写真展に?
私も一度お会いしたいです。
Commented by eureka_kbym at 2018-02-28 05:25
border72さん
あの方、というのが二人想像されるのですが、多分、正解だと思います。
地方在住だと、思うようにこんな機会に足を運べないのが痛いですね。
もともと文章を書いていた自分ですが、それもどこか映像とか漫画的だと言われたことがあります。
写真が映画的かどうかは、さておいて…ですが(汗
by eureka_kbym | 2018-02-25 22:58 | X100T | Comments(2)

little island walking,

現在、EOS6D EOS5Dmark2 X100 X100Tを主に使ってあちこち撮り歩くだけのブログです。http://eureka69.exblog.jp/fp/cameras

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